238人が本棚に入れています
本棚に追加
「……って、トッツー?!」
「え?郁人…?」
薄暗い教室の中、一人で泣いていたのは、同じクラスのトッツーだった。
「何、どうしたんだよ?」
「ッ…なんでもない…」
「なんでもなかったらこんなとこで泣かないべ?」
「………っ」
「ほら、俺に言ってみ?」
「郁人…」
…………………
「そりゃあキツいな」
「でも自分が悪いだけなんだよね…」
理由を聞いてみると、今日の部活で上手くいかないことがあり、北山先輩に怒鳴られたらしい。
「まあみっちゃんもサッカー馬鹿だもんな」
「いいよな、郁人は先輩と仲良くて」
「トッツーも大概気に入られてんじゃん」
「……そうなのかなぁ…」
「ま、元気出せって!」
「んー……」
「……しゃーねぇなっ」
「えっ?」
トッツーの前にある机に手をついて、反対の手で、トッツーの真っ黒な前髪をさらりと掬い上げた。
最初のコメントを投稿しよう!