郁 × 凸

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「……って、トッツー?!」 「え?郁人…?」 薄暗い教室の中、一人で泣いていたのは、同じクラスのトッツーだった。 「何、どうしたんだよ?」 「ッ…なんでもない…」 「なんでもなかったらこんなとこで泣かないべ?」 「………っ」 「ほら、俺に言ってみ?」 「郁人…」 ………………… 「そりゃあキツいな」 「でも自分が悪いだけなんだよね…」 理由を聞いてみると、今日の部活で上手くいかないことがあり、北山先輩に怒鳴られたらしい。 「まあみっちゃんもサッカー馬鹿だもんな」 「いいよな、郁人は先輩と仲良くて」 「トッツーも大概気に入られてんじゃん」 「……そうなのかなぁ…」 「ま、元気出せって!」 「んー……」 「……しゃーねぇなっ」 「えっ?」 トッツーの前にある机に手をついて、反対の手で、トッツーの真っ黒な前髪をさらりと掬い上げた。  
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