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「なぁに?加浬」
俺の手を振り払おうとはしなくて、そのまんま俺に微笑む。
「……似合ってるから、それにしろよ」
兄貴に聞こえるか聞こえないかわからないくらい小さな声で呟く。
それでも兄貴には聞こえたのか、うなずくと母さんのとこに行って渡してた。
ちょっとうれしい。
なんかいろいろして、眼鏡ができるのは三日~四日後って言われた。
今日は木曜……だから、日曜日にくればいいのか?
楽しみにしてるのは、兄貴だけじゃなくて母さんも俺も楽しみ。
その日は、俺もなんとなく機嫌がよかったんだ。
――日曜日――
「きゃーっ!やっぱりお父さんの子ねっ!眼鏡が似合うわっ!」
メガネを受け取った後、一番はしゃいでるのは母さん。
若いころの父さんに似てるのどーのでキャッキャ言ってる。
写メも、もう三十枚以上とってるんじゃないか……?
最初の方は兄貴も乗り気だったけど、最後の方は苦笑してただけだった。
母さんの興奮も収まって、夕飯食べると俺と兄貴は一緒に階段を上って行った。
いや、俺が行こうと思ったら兄貴がくっついてきただけで。
俺が部屋に入ろうとすると、兄貴が俺の腰に手をまわして引き寄せる。
「加浬、おやすみ…」
って囁くと、さっさと部屋に行きやがった。
……っ!なんで!俺は!赤面してんだよっ!
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