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「あ、加浬ーっ!待ってーっ!」
俺が家から出ようとすると後ろからバタバタと慌ただしい足音と共に兄貴の声。
――……よし、無視しよう。
兄貴の待て、という言葉を無視してさっさと家から出る。
「行ってきまーす」
母さんへ向けた言葉。
行ってらっしゃーい……って聞こえた気がする。
学校への道のりを歩いていると、兄貴が俺に追いついた。
「もー、加浬っ!なんで置いてっちゃったのー?」
俺の隣でぶつくさ言う兄貴。
……眼鏡かけてる。
今更だけど、兄貴を見上げてまず思ったのがそれ。
見た目は、かっこよくて、クールなイメージなのに口を開けばこうだ。
そのギャップに、俺はふっと笑うと兄貴は頭の上に疑問符を浮かべたような顔をしてきた。
「なんでもない」
とだけ答えると俺は前を見て歩く。
俺と、兄貴の指先が少しふれてるのは気のせい、だと思う。
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