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「秋那、遅かったじゃん。どした?」
「珍しいなー。寝坊かー?」
HRも終わり、皆が好きなように過ごす、授業の合間の休み時間。
息も絶え絶えの状態の秋那に、二人の少年が話しかけた。
「起きてはいたんだけど……色々あって」
「なーんだ、柚稀ちゃんに朝から振り回されたなー?」
鋭い。
秋那が「色々」と濁した内容をズバリ言い当てた少年は、眠そうな目で秋那を見た。
半分瞼が閉じてしまっている瞳は、僅かに得意気だ。
背が高く、手足が長い。
そのせいか、平均的な体型であるのに華奢だと見られがちなのが悩みだと、少年は言っていた。
語尾を偶に伸ばして喋る独特の話し方で、少年──佐藤 雅義は、隣の少年に話を振った。
「クニの予想は外れたみたいだな。んー?」
「いや、コイツの事だからまた女の子を引っ掛けてんのかと……。妹と連んでた、だと!? ある意味当たりじゃねえか!!」
人聞きの悪い事を連発しているのは、国見 祐介。──通称クニ。
無造作な髪型の佐藤とは逆に、整髪料でキッチリと固めた髪。
耳にはピアスの穴が三つあり、その内一つは既に埋まっている。
ネクタイを緩め、制服は盛大に着崩したその姿は、一言で表すなら「不良」。
普通の人なら、避けて行くような容姿である。
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