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だが、見た目とは裏腹に、国見の性格は「賑やか」程度。
中学生の頃から友達だった佐藤が言うには、「格好と中身が合っていない」らしい。
「僕がいつ、女の子を引っ掛けたりしたんだよ!?」
「うるせぇ!! いつもかつも、街を歩けばナンパ受けてるのはどこのどいつだコルァ!!」
喚く国見に、秋那は頭を抱えた。
確かに、異性からの誘いを受けた事はある。
だがそれも数回で、街を歩く度などという事は全く無いのだ。
尤も、自分の仕草の一つ一つが相手の心を掴んでいる事に、秋那自身が気付いていないのだが。
「まあ待てクニ。秋那に悪気があるわけじゃねーんだしさー」
「無意識なんざ、なお悪いわぁぁぁぁあ!!
秋那、お前のその舌引っこ抜いてやるから来い!!」
「え、無意識ってなに? ……うわっ、危ないってクニ!!」
秋那は、辞書を振り回し始めた国見から慌てて距離を取る。
国見はまだ何か喚きながら、秋那に向かって辞書を投げつけた。
「広辞苑クラッシュ!!」
秋那が突っ込む間もなく、広辞苑が凄まじいスピードで飛んでくる。
思わず目を瞑ったその瞬間、のんびりとした声が耳に届いた。
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