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「…アル」
「なに…?」
アルの背中にギュッと腕を回して抱き締め返した。
温かい……アルの匂い、落ち着く…。
「私は…ひとりぼっちじゃ…ないよね……?」
今にも寂しくて、潰れそうなんだ。
誰か、居てくれないと……私は私が分からなくなる。
「…ポプリには、俺がいるよ。だから大丈夫。
ずっと一緒に居るから…誰よりも近いところに、俺は居るから…」
優しくて、穏やかな声。
ありがとう。
「………ありがとう。…ありがとう…」
アル、小さい時からずっと友達で居てくれて、ありがとう。
今も、こんなに傍に居てくれて、ありがとう。
「ポプリ…」
しばらくギュッとしていると、アルが私の名前を呼んで、私から離れた。
自然と、私も回していた腕が解ける…。
「なに…?」
「ふっ、なんで泣いてるの?」
「へ?」
アルが指差している方に手を伸ばすと、私の頬は濡れていた。
「…ああ、ホントだ!気付かなかった…」
「バカなポプリ」
アルがふんわり笑って、そう言う。
「…!」
そして、私の頬に手を伸ばし、親指で涙を優しく拭ってくれた。
「もうちょっと寝てなよ。疲れたでしょ?」
アルに身体を横にするように促され、私はまたベッドに身体を預けた。
「うん、もう少しだけ寝る。…ありがとう、アル」
「今日のポプリ、変。何回お礼言うの?」
「…ふふ、ごめんね」
「今度は謝るし。言葉じゃなくて、態度で表してくれる方が嬉しいんだけど。例えばチューとか」
私の唇に、人差し指を添えて不敵に笑うアル。
何言ってんだ、こやつは!
「しません!!」
フンッとアルから顔を背けると、アルは柔らかく笑った。
「…おやすみ、ポプリ。今度は良い夢を」
意識が遠くなった私の頭の中に、アルのその言葉が最後に届いた…―
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