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『………っ…ひっく…どうして…みんな私を避けるの…っ?
私は…何もしてないのに…っ』
暗闇の中、女の子が下を向いて目を擦りながら立っている。
黒髪で黒いワンピース、小さな赤い靴……。
ああ、あの子は…小さい頃の…私だ。
話しかけようか、かけまいか一瞬躊躇ったけど……何だか、放っておけない。
走って、小さな私に近付いた。
近付いて、手を伸ばしたら触れられる距離になった瞬間、パシャッと何かが跳ねる音が聞こえる。
…?
何の音…?
疑問に思って下を向くと、女の子は水溜まりの上に立っていた。
………立ってる?
いや、これは立ってるんじゃない…。
水溜まりの上に、つま先がつくかつかない程度に浮いているんだ。
私…、小さい頃…こんなこと出来ないよ…?
今の私でも出来ないのに、幼い私は糸も簡単に水溜まりの上に宙に浮いていた。
『…だ、大丈夫?
何かあったの…?』
自分が泣いてる姿を見るなんて、変な気分。
おずおずと話しかけると、小さな私はまだ目を擦り泣いている。
『…ねえ、そんなに泣かないで。泣いてたら、良いこともやってこないんだよ』
いつか、赤髪の青年に言われた言葉。
まさか、自分が自分に言うなんて…思いもよらなかった。
『……大丈夫だから。もう泣くことなんて、しなくていいから。
何があったか、よく分からないけど…貴方が、もうちょっと大きくなったら、きっと素敵な友達が出来るから。もうちょっとの辛抱だから』
ね?って、笑って幼い私の頭を撫でた。
その瞬間、手から電気が流れたように、ビリビリっと痛々しい音がし、一気に私の頭の中に何かが送られてくる。
なにこれ…?
これは……
誰の映像……――?
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