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「…っ、はあっはあっ……!!」
気が付けば、そこは…いつも見る天井だった。
右左、横を見渡しても変わりはしない。
綺麗に片付いた女の子らしい部屋。
これは、誰かが定期的に部屋を掃除してくれている部屋。
私と、アンジェリーナの部屋だ。
「…気がついた?」
上から、優しく穏やかな声が降ってくる。
それは、私の求めている人の声じゃないけれど、今の私には充分過ぎるくらいに優しく溶け込んできた。
「アル……、わたし……」
さっきまで、私は何をやっていたんだろう……。
ああ、そうか…。
小さな私が、真っ暗な森の前にいて…抑揚のない顔をして、人形のように座って………それで…、知らないオジサンに抱えられて……。
「倒れてたんだよ、森で。
外の空気吸ってくるって言って、戻って来ないから…」
アルはぽつりぽつりと言葉を出した。
なんだ…―
あの私と、あのオジサンは…夢か。
夢を見る前は確か、ナイトメアとかいう人達に会って…それで、首を絞められて…意識が……。
そう言えば
「わ、私…生きてる…!」
ガバッと起き上がり、自分の首があるであろう部分をさすり、首があることと真っすぐだということを確認した。
「……死ぬかと、思った」
「え?アル?」
アルを見ると、紅の瞳を細め、ギュッと私を抱き締めてきた。
ぎゅうぅっと、苦しくなるくらい引き寄せられて…、私は心が痛くなった。
「ずっと呼んでも返事しないから、もう…ダメかと思った。
ポプリは俺のなのに…、勝手に死なないで」
「あ、ごめん…」
アルの発言を否定せずに、素直に謝ってしまった。
私は別にアルのモノじゃないけど、今は温もりが欲しかった。
ひとりぼっちじゃないって、自分に言い聞かせたかった。
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