235人が本棚に入れています
本棚に追加
「…何処だ、此処」
周囲を警戒し確認しつつ、なんとも気怠そうに歩く男が呟く。
彼の名は神狩 御名(かがり みな)。見た目ではまだ高校生くらいだろう。
黒く肩につくぐらいの髪に黒い瞳。背はおそらく180近い。
しばらく歩き続けると、広く拓けた空き地にたどり着く。
そんな彼の周りには数匹の何かがいる。
一匹が、俺に向かって話しかけてくる。
「…貴様、此処ガ何処カワカッテ来タノカ?」
よくは知らないが。まあそのまま答えれば良いだろう…きっと。
「知らないな。さっぱりだ」
「何ダト…?貴様、フザケルナ!」
何故怒る。
「我等ガ魔族ノ聖域ニ侵入スルコトナド…常人デハ不可能ダ!」
…つまり、入ってはいけない場所に入ったという訳だ。面倒ったらない。
俺は右手を前に翳し、問い掛ける。
「…どうしたら許してくれる?」
「此処デ朽チロ」
周囲にいた魔物が一斉に襲い掛かってきた。予測済みな訳だが。
「ほらよ。プレゼントだ」
ポケットの中にしまっておいた物を左手で投げると、閃光と爆音を放つ。
あらかじめわかっていれば、対処がいくらでも出来る代物だ。
直ちにそこからずらかることにする。
.
最初のコメントを投稿しよう!