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「それで…あれは一体」
「…本当の名称は『距離を変える程度の能力』、最大範囲は不明だ」
――これが真実。
距離を自在に変える、『誰にも』完全な力の正体がわからないモノ。
最初から知っていた力であり、爺さんに使う機会を制限された。
そりゃこの力を自由に使ってたら堪らないよな。どんなことにしたって。
そうだ……。どんなことにしたって――。
「……さん」
「…名さん?」
「御名さん?!」
「うおっ!?」
「驚いたのはこちらです。急にぶつぶつと呟くものですから…。心、此処にあらずといったところでしょうか」
そうか、随分迷惑をかけたな。
少し昔のことを思い出してしまった。
「大丈「嘘ですね?」
……この野郎。
夜「もし、本当に大丈夫ならそんなことは言わないはずですが」
「勘が良いのも考えものだぜ?」
「推測です」
「全く…敵わないな」
「本当に――大丈夫なんですか?」
近付くな。
…いや、今は嬉しいな。
今だけは本当に甘えたい気分だ。
実際には甘えないのだが。
「ああ、ありがとう。もう大丈夫だ」
笑ってみせる。
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