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それからは何事もなかったのですが、
保育園に上がってからしばらくして私は最初の"誰か"に出会いました。
それは…
おじいちゃんの入院している病院に行った時でした。
保育園も年長組にあがり、だいぶ意識がはっきりし、自分が言ってることも理解しはじめた頃でした。
よく、覚えてます…
あの日はうっすら曇り空で、なんとなく行くのが嫌でした。
でも、大好きなおじいちゃんに会えるので、オカンの腕にしがみつきながら病院に行ったのです。
おじいちゃんは私達姉妹を温かく向かえてくれて、同室の方々もとても良い方ばかりでした。が。一人だけずーっと黙ってこっちを見ている中年(40~50位)のおじさんがいたんです。
私は怖くなっておじいちゃんに甘えていましたが、他の誰もその視線に気付かず、その人も文句を言う気配がなくて、でも怖くておじいちゃんから離れる事はありませんでした。
その時でした。見ないようにしていた"彼"が家族の後ろを歩いて去っていくのをみちゃったんです。
あの時、思わず見入ってしまいました…
その人、大粒の涙を流しながら前だけをみて、嬉しそうに消えていったんだから…
「何みてるの?」
そう、おじいちゃんに言われるまで私はずぅっとその方向を見ていました。
「もっちゃんは良い子だからね。」
そういって頭を撫でてくれたおじいちゃんと涙を流しながら消えていった彼を
未だに忘れられません。
これが、私の初めての体験でした。
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