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「お前はその井口って奴の事好きなのか?」
「好き…?」
私は考え込んでしまった。
「おいおい!
そんな好きかどうか考え込むような奴と何で付き合おうって思ったんだよ。」
「え~と、それは、
こないだ、私掃除当番で、ゴミを焼却炉に捨てに行く途中で井口君に呼び止められたのね。」
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その日私はじゃんけんに負けて一人でゴミ箱をガコガコ鳴らしながら焼却炉に続く渡り廊下をテクテク歩いていた。
そこにたまたま井口君が通りかかったようで、
「あ、ねえ林さん。目の下睫毛付いてるよ。」
と、話しかけてきたのだ。
「え?ホント?ありがとう。」
私はゴミ箱を持っていない方の手で目の下をゴシゴシ擦った。
「違う違う。そこじゃなくて、」
そう言いながら井口君は私に近寄りながら手を私の顔に添える。
私があれ?って思った時には井口君の唇が私の唇に重なっていた。
これってキスだと理解した時に井口君は唇を離し、
「ここ。」
って言いながらニヤっとわらった。
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