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私の足から伸びる影。
その先に男の子の足が溶けるように繋がっていて、まるで私の影から男の子が生えているようになっていた。
あまりの異様な光景にただ言葉を失う。
戸惑いの表情を浮かべていると、
「あっ!自己紹介がまだだったな!
俺は影の蜃気楼ってなしがない妖怪だ!
まあ気軽に蜃さんとでも呼んでくれ。」
「よ、妖怪?
……蜃…さん?」
男の子は私が名前を呼ぶと満足そうに微笑み、ベッドの上でキチンと座り直し見かけはちょっとチャラっとしているのに、その風貌とは似つかわしくない程背筋をピンと伸ばした。
「要子は覚えてないかもしれねぇが、お前別の妖怪に影を喰われたんだ。
人間は影を喰われると死んじまう。
影を喰われた瞬間要子は意識不明っちゅうか、まあ死にかけてて、慌てて俺が要子の影の替わりになったって訳よ。
だからこれから俺が要子の影としてずっと一緒にいてやるよ!
これから長い人生よろしくな、要子。」
「え?」
今、この人何て言った。
その時勢いよくカーテンが引かれた。
シャッという小気味よい音と共に聞き慣れた声が聞こえてきた。
「あっ!要子。目、覚めた?
って、何でベッドに突っ立ってるの?」
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