174人が本棚に入れています
本棚に追加
そこに立っていたのは我が友、ちゃきちゃき菜々子ちゃんだった。
「え~と、これは蜃さんが……。」
「は?蜃さんて誰?
まあいいや。私おじさんとおばさん呼んでくるね。
今病院の手続きに行ってて、目が覚めたら呼ぶ約束してたんだ。
にしても一時は心肺停止にまでなって大変だったんだから。
ビックリしたよ!
急に廊下で倒れたかと思ったら、また急に息を吹き返して、その後全く異常なしの状態になるし。
あんたのトロさは体全体どころか内蔵までとはね~。」
心肺停止?
私はチラッと蜃さんを盗み見た。
蜃さんは今度は私の斜め上辺りをふわふわ浮いてニカニカ笑いを浮かべていた。
再び菜々子ちゃんを見る。全く蜃さんに気付いてない。
見えてないんだ。
蜃さんは浮きながらも私の影と繋がっていた。
さっきの自分の説明が本当だったことを証明できた事も自慢するかのように得意気に笑っている。
菜々子ちゃんはふいに何かを思い出したような顔になり
「そうそう!そういえば井口のヤローさ、自分の彼女が倒れて救急車で運ばれたってのに帰っちゃったんだよ!
アイツちょっと彼氏としてどーなの?」
「あ、そうなんだ。」
私は特に気にとめず二パアと笑うと菜々子ちゃんにパコっと頭を叩かれた。
「もういい!おじさんとおばさん呼んでくる!」
そう言うと怒って行ってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!