step1:prologue

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「あれっ、お前いつからいたんだ?しかも、制服が汚れてるぞ」 「お前がオレをぶっ飛ばしたんだろーが!!」 「あっ、達也君。おはよう~」 「なにが『おはよう~』だ!お前も普通にスルーしやがったな!!」 達也が美奈に絡んでいる間に、オレは掲示板に群がる学生の輪の中に入っていった。 【2年6組……佑樹陵・小坂達也】 「な……」 「はっはっは!!やっぱりオレらの深い絆は簡単には離れないみたいだな、陵!」 「ちょ、ちょっと待て!!2年連続同じクラスって……」 「ハイハ~イ、文句は教室で聞きますからね~。じゃあ、美奈。また後でな~」 自分のクラスを見つけるのに戸惑っている美奈を置いて、オレは達也に引きずられていった。 「う~む。やはり6クラスもあると、かなりメンバーが変わるな。しかもこっちは理系!2クラスしかないってことは、来年も同じクラスになる可能性が大きいぞ~達也!」 「おいおい……今から来年の話をしないでくれ」 カバンを机の上に置くと、なにやら教室の前の方が騒がしかった。 「委員長~始業式って何時からなの~?」 「委員長、ロッカーの使い方はテキトーでいいの?」 「委員長~始業式サボってもいい~?」 「えっ、えっと……」 人だかりでよく見えないが、どうやら一人の女の子が教壇の上であたふたしているようだ。 「今年もやってるねぇ~委員長は。こりゃ、今年もクラス委員は決まりだな」 「ああ……穂波さんか」 そういえば、穂波さんも2年連続で同じクラスだったような気がする。 「始業式は9時から!」 「OK」 「ロッカーはあいうえお順!」 「ラジャー」 「ちゃんと出なさぁい!」 「ええ~!」 穂波さんを囲んでいた学生たちは、始業式の会場である体育館へと行くために教室を出ていった。 「ふう……」 「お疲れさま、穂波さん」 「あっ、ゆ、佑樹くん!今年もよろしくね!!」 「あ、ああ。よろしく」 どうやら彼女もオレのことを覚えていたらしい。 女の子と接するのは苦手だが、話すくらいなら問題はない。 「じゃあ、俺らも行こうぜ、穂波」 「あ、うん」 しかし、穂波さんが教壇を降りようとした瞬間……… ツルッ!! 「ひゃあ!?」 「えっ!?」 バターン!! ムニュ! オレは、滑って前のめりになった穂波さんに押しつぶされた。
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