step1:prologue

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―――ゾクッ!!! 「―――!?」 後ろの方から、ものすごい殺気がした。 「ど、どうした陵?」 「な、なぁ……。今、後ろから誰かの殺気が伝わってきたような……」 「はぁ?んなわけねーだろ。気のせーだよ」 「そ、そうだよな…」 しかし、どうもあの殺気は昔に経験していたような気がした。 帰りのHRが終わり、昇降口を出ると、校門の前で美奈が待っていた。 「よっ」 「わわっ!」 急に後ろから声をかけられた美奈は、予想通りのリアクションをした。 ……美奈とは普通に接することが出来るんだけどな。 ……まあ、美奈は家族みたいなものだからな。 それに、美奈には失礼だが、まだまだ子どもっぽい体つきだもんな。 「遅かったね~陵くん」 「まあな。それより、美奈は部活に入らないのか?」 一応、オレや達也が所属している帰宅部があるが…… 「うんっ!だって、陵くんと一緒に帰りたいもん!」 「……あのなぁ」 「??」 まったく悪びれた様子もなく、美奈は屈託のない笑みをオレに向ける。 ……そんなにはっきり言われたら、さすがの幼なじみのオレでも恥ずかしくなる。 「……よし。今日は久々にアイスでも食ってくか。入学祝いだから、オレがおごってやるよ」 「えっ、ホントに?やった~!ありがとう、陵くん!」 教室での穂波さんとのことや、体育館での殺気のことを忘れてオレは美奈と一緒にアイスクリームを買いに商店街まで足を伸ばした。 「うわぁ~おいし~い!」 「……よくそんなに食えるもんだな」 シングルのアイスを食べているオレに対して、美奈は上からバニラ・オレンジ・ストロベリーのトリプル重ねだった。 「だって、せっかく陵くんが買ってくれるんだもん。ダブルじゃもったいないよ」 シングルという選択肢は最初からなかったのか、と突っ込みたくなる。 「あ……」 「どうした?」 美奈がふと足を止めた。 オレが美奈の視線を追うように上を見上げると、春の象徴である桜吹雪が美しく舞っていた。 「……きれい…」 「――美奈……?」 ドキッとした。 桜吹雪のせいだろうか、美奈の顔がとても大人びて、とても可愛く見えた。 こんな顔も出来るようになったんだなと、ちょっと感心した。 「あっ、アイスクリームが溶けちゃうよぉ~!」 「…………」 ……気のせいか?
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