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トゥルルルル…
トゥルルルル…
夕食(インスタントラーメン)を食べていると、玄関先にある電話が鳴った。
「はいはい、もしもし?」
「お、おい陵!!今すぐに逃げろっ!!」
「………はぁ?」
珍しく達也からの電話だと思ったら、何やら慌ただしい様子だった。
「お前が昼間に感じた殺気は本当だったんだよ!!だから今すぐ逃げろっ!!」
「……いや、言ってることがよく分かんないし」
ピンポーン!
来客を知らせるインターホンが鳴った。
「あっ、誰か来たみたいだな。忙しいから切るぞ」
「あっ、おい!陵っ!!」
ガチャ!!
「……いったい何のことを言っていたんだか…」
ピンポーン!
インターホンがもう一度鳴る。
……美奈だろうか?
美奈はよくオレの部屋に遊びに来ている。
オレの親は半年前から海外で仕事をしているので、オレの身の回りの世話をしに来ているらしいが、今のところはまったく逆で、美奈が来るとろくなことがない。
ガチャ……
「どうしたんだ美……」
玄関を開けた瞬間、オレは固まった。
「―――こんばんは」
目の前に立っていたのは美奈ではなく、背が高くすらっとした女性だったからだ。
年齢はオレと同じ……いや、少し上だろうか。
女の子が苦手なオレでも、正直に美しい人だと思った。
「あ、あの……どちら様でしょうか?」
「あらあら。陵は私のことを忘れちゃったのかしら?」
「??」
ますます頭が混乱してくる。
なぜこの人はオレの名前を知ってるんだ?
オレが不思議そうな顔をしていると、その女性ははにかみながら言った。
「ほら。もう忘れちゃったの?私よ。岬お姉ちゃんだよ」
「………えぇっ!?」
岬姉ちゃん(通称:岬姉)は、オレの1つ年上の先輩で、達也のお姉さんだ。
3年前に女子校に進学して寮生活を送っていたので、最近はまったく会っていなかった。
しばらく見ないうちに、大人の女性になっていた。
しかし……
「岬姉……もしかして、けっこう性格変わった?」
「あらあら。失礼ね」
岬姉はそう言って、オレの頭を撫でる。
……ちょっと待てよ。
岬姉は中学を卒業するまで、オレと達也をかなりパシリにしていた。
オレと達也は岬姉に頭が上がらず、いつも岬姉の忠実なる僕のような存在だった。
なのに、あの岬姉がここまで変わるなんて……!!
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