9人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、高校生活を送っているうちに性格が丸くなったのだろうか?
「あ、何もないけど上がっていってよ」
「そうね……せっかく来たんだものね」
だが、岬姉がオレの脇を通って家の中に入ろうとしたとき……
「ちょっと待ったぁ~!!」
「!?」
「な……達也?」
制服を着たまま全力疾走してきたようだ。
そのせいか、息がかなり荒い。
「――――!!」
キラーン!!
「!?」
岬姉の方から殺気がした。
しかも、昼間体育館で感じたものとまったく同じだった。
「陵を巻き込もうとしてもそーはいかねぇぞ!!おい陵っ!!騙されるなっ!この姉貴は3年前と何も変わっちゃいねぇ!!早く逃げねぇと、またあの地獄の日…」
達也の主張は最後まで紡がれることはなかった。
岬姉が達也の顔面をつかんで、体ごと宙に浮き上がらせていたからだ。
「な……」
それを見たオレの背中に寒気が走る。
確かに、達也が岬姉にボコボコにされる様子は3年前と何も変わっちゃいない!!
「ふふふ……よくもあたしの野望を打ち砕いてくれたわね?達也」
「野望…?」
「そうよ。陵をメロメロにして岬姉ちゃんの虜にしてしまえ作戦!あと少しで成功したのに…邪魔が入ったわね」
それを聞いたオレは、あまりの恐ろしさに身動きが取れなくなっていた。
もし逃げたとしても、必ず捕まって今の達也のようになると、頭よりも体が理解していた。
「に、逃げろ陵!!ここはオレが……」
「ふふふふ!」
バキッ!!
「うわぁ――――!!」
「いっ!?」
キラーン!
……夜空に星が1つ増えた。
「み、み、岬姉……」
「………」
岬姉は達也が星になった方向を見つめたまま、オレに背を向けている。
「……と、とりあえず、上がっていってよ。オレも久々に岬姉に会えて嬉しいし」
「……陵…」
「ん……?」
「―――陵っ!!」
「う、うわぁ!?」
岬姉がいきなりオレに抱きついてきて、オレの体をもみくちゃにした。
逃げようと思ったが、体をしっかりと岬姉に固定されて動くことができない!!
「ああーん、もう!!陵はやっぱり、いつ見ても可愛くて仕方ないわぁ~!」
「ちょ、ちょっと!岬姉!!」
抵抗するが、岬姉の鉄腕の前では何をしても皆無。
というか、このままだと本当にオレの命にも危険が!?
最初のコメントを投稿しよう!