9人が本棚に入れています
本棚に追加
「ん~、この肌触りの良さ!!3年前と何一つ変わってないわねぇ~!!」
「だ、誰か助け…」
ガクリ……
「あら?陵?寝ちゃったのかしら?」
岬姉の容赦ない攻撃に撃沈したオレは、達也と一緒にお花畑をさまよった……
「ん……?」
「あら、起きたのね」
目が覚めると、オレはベッドの上にいた。
どうやら、気絶していたのは1時間くらいだったようだ。
「さあ、陵が起きたことだし、夕飯食べようか!」
「……え?」
リビングの机の上を見ると、さっきまであったインスタントラーメンの影はどこにもなく、岬姉手作りの料理が並んでいた。
「ほらほら、早く席について」
「あ……うん…」
岬姉に促されるまま席につく。
目の前では、炊きたてのご飯と味噌汁が湯気を上げている。
「いただきま~す!」
「い、いただきます」
岬姉に倣って挨拶をすると、視線を下に移す。
まずは、その家の伝統の味と言われている肉じゃがを一口食べてみる。
「あ……美味しい」
「当然よ。誰が作ったと思ってるの?」
岬姉は自画自賛していたが、まさか岬姉の料理の腕がここまで高いとは思わなかった。
肉じゃがだけでなく、唐揚げや煮物も抜群の味だった。
「本当に美味しいよ、岬姉」
「あら……そこまで言われると照れちゃうわね」
岬姉は多目に作っていたが、食欲をそそられたオレは次々と胃の中に納めていった。
「ところで……」
「ん?」
そろそろ食事も終わりに差し掛かったころ、岬姉が話を切り出した。
「あたし、明日から陵と同じ学校の生徒になるからね」
「……え?」
一瞬、自分の耳を疑ったが、体育館で感じた殺気(おそらく達也に向けられたものだろう)が岬姉から放たれていたのなら、筋の通らない話ではない。
「そっか……美奈も喜ぶと思うよ」
「ふふ……明日、朝イチで会いに行くわね」
そこで、机の上に並べられた料理は全て間食された。
「ごちそうさま、岬姉」
あとはオレが皿洗いをして、岬姉はそのまま帰るのかと思ったそのときだった。
「あ、そうそう。学校生活はどう?陵。今日は何か変わったことはなかった?」
「変わったこと?」
「そう。変わったこと」
岬姉は何やら楽しそうな顔をしている。
まあ、せっかく来てくれたんだから、色々と話をするのもいいだろう。
最初のコメントを投稿しよう!