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そして、天衛門の左目には刀傷が付いている。これは、私が3歳、天衛門が7歳の時に、私が山賊に連れ去られた時に受けた傷。
あれは、私が父上の帰りを門の外で待っていて、天衛門は入口を竹箒で掃除をしていた。
何処からともなく山賊が現れ、私はあっという間連れ去られた。それを天衛門は追って来てくれて、雑木林に追い詰めて、いつも懐に隠している小刀を抜刀。
殺さず、且つ、戦闘不能に持ち込む天衛門の刀捌きに、私は連れ去られた事を忘れ、山賊が片付くと、天衛門は何事も無かったかのように城へ戻った。
目に傷をおって。
幸い目は無事だったが、天の顔には痛々しく跡が残った。
天は「何言ってるんですか、これはツルギ様を御守り出来た名誉の証しです。」と言って、ケロリとしていた。
でも、小さかった私は罪悪感で涙が止まらなかった。
「ツルギ様!」
呼びかけられ、私は現在に戻された。
…ちょっと感傷にひたってたのに…
呼んだのは陸だった。
「そーいえば、頼まれていた華楽<からく>堂の蓬<よもぎ>団子、買っておきましたよ。」
「ホントに!?」
華楽堂の蓬団子は本当に美味しい!私の大好物だ!
「その前に」
陸が私を止める。
「一勝負、やりません?」
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