日常

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「蓬団子は陸に勝ったらの賞品って事?」 陸も私も、ニヤリと笑う。 陸の手はブンブンと何かを上下に振るような動きをしている。 剣術。 これが一勝負の正体だ。 「いいわ、相手してあげる。だけど、この服じゃ無理だから着替えてくるわ。」 今の服装…十二単<じゅうにひとえ>とは言えないけど、六単くらいかしら。 だって、重いんだもん。 それに、袖が邪魔だから襷<たすき>で後ろに縛ってる。 見知らぬ人には見せれない格好ね。 「木刀、用意しといて。」 「「はい。」」 陸と天が同時に返事をした。 しばらくして、私は剣道着に身を包み、庭へ行った。 陸は木刀を持って、木にもたれ掛かっていた。 天は私の姿が目に入ると、手に持っていた木刀を私に手渡した。 私と陸が位置につく。 合図は天の手から落とされる石が、石畳にあたる音。 「いきますよ?」 天の手から石が落ちる。 カツン 軽い音がし、石が石畳に弾かれたと同時に、陸は素早く私に突っ込んできた。 私は迎え討とうと上から振りかざす。 下から打ち込んだ陸の木刀と、上から振り下ろす私の木刀が、ガンッ!と、鈍い音を放つ。 一時停止をした木刀を、私は力任せに振り払う。
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