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ブンッ!!
真一文字に振られた私の木刀を、陸は後ろに飛んであたるのを回避し、私の木刀は空<くう>を切った。
この勝負の勝ち負けは、相手の木刀が体に打ち込まれた時点で決まる。同時に打ち込まれた場合は、どちらが致命的かによる。
ガンっ!!ゴンっ!!がんっ!!
しばらく打ち合いが続き、木刀の音と砂を蹴る音が響く。
スキを見計らって打ち込む陸の木刀が私の木刀に弾かれ、陸が少しよろめき、肩にスキが見えた。
私は陸の肩に狙いを定め、一気に打ち込んだ。
ドッ!!
私の木刀は陸の肩を直撃した。
「…やっぱり陸には適<かな>わないわね。」
一見、私の勝ちに見えた。
だけど、陸の木刀は同じタイミングで私の胸に打ち込まれた。
ちょうど、心臓の位置に。
「あーぁ、蓬団子逃したじゃないの!」
私は陸の肩から木刀を離し、スタスタと天の方へ歩き、天に木刀を渡した。
「なかなか上達しましたね、ツルギ様。」
天の言葉に私はあえて答えない。
「確かに。昔なんか10秒で負けてましたもんね。」
陸が私の方に歩み寄ってくる。
「ねー、ツルギ様っ!」
お調子に私の顔を覗きこむ。
私は陸から顔を背<そむ>ける。
だけど、一瞬見えてしまった私の顔を見て、陸はギョッとした。
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