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しばらくすると
「…う…うるせぇよ」と、小さい声が返ってきた。
私は帯締めを天に手伝わせて身なりを整えると、襖をスパンッ!と勢いよく開けた。
直ぐ側に未だに頭をガシガシと拭き続けていた陸は、少しビクッとして、私の顔を見た。
「陸っ!!」
私は大きな声と共に、陸の頭に手をやった。
「明日も稽古に付き合いなさい。いいわね?」
私は陸の頭を拭きながら言った。
「は…はい!」
陸はさっきの気弱な声とは違って、明るい返事を返してくれた。
「ツルギ様、夕飯の準備が出来たそうですよ。」
天は私が脱ぎ捨てた剣道着をたたみながら教えてくれた。
気が付けば、辺りはすかっり日が落ちていた。
今日の夕飯は、ご飯に煮魚、味噌汁と漬け物だ。
煮魚はニギスの醤油煮で、味噌汁は豆腐とワカメだった。
美味しい夕飯に箸がすすむ。
特に煮魚が柔らかくて、醤油の甘さと一緒に煮ている生姜<しょうが>が絶妙だ!
私はぺろりと夕飯をたいらげて、「ご馳走様」と手を合わせた。
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