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日常
草木がざわめく。
私の人捜しを遮るように…
「りくー?てんー?」
ココは私の家の庭。家と言っても矢ヶ崎城の。
そう、城。
私はこの城の姫、矢ヶ崎 剣(やがさき つるぎ)。
自分でも笑えるくらい大層な名前でしょ?
父上は本当は男の子が欲しかったんだけど、私が産まれて、もともと病弱だった私の母上は死んでしまった。
一夫多妻は当然の世界だが、父上は母上以外を愛せず、何人かいた妻も子供を産む前に追い出されてしまった。
…もし、私が父上の希望通り男の子だったら、[剣之助]とか名付けられてたのかしら…?
[剣]は刀と違って西洋の武器。お前には日本に止まらず、世界を眺めて欲しい。でも、同じと言う事を常に忘れるな。戦には刃だけでは守れぬモノがあると言う事を…
と、言うのが由来。
「りーくーー!てーんーー!」
そういえば、私は人捜しの真っ最中だった。
一向に姿は見えず、次第に苛立ちが増し、呼び掛けは怒鳴り声になりつつあった…。
「りくっ!!てんっ!!どこにいるのっ!!!」
もう、怒鳴り声なのか叫び声なのか…
「出てきなさーーいっ!!!」
あ、因みに[かくれんぼ]である。
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