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U.C.007911月…ジオンの一大反攻作戦のジャブロー攻撃を切り抜けた連邦軍は宇宙での攻勢を強めるため先のルウム戦役で傷ついた艦隊を再編し、打ち上げた。その中には主戦力となる艦隊から目を逸らさせるべく発進した囮艦隊の姿もあった。後に一年戦争の英雄となったホワイトベースの姿もそこにはあった。
この頃すでにホワイトベースはジオン軍の畏怖の対象であり、最大の敵でもあった。そのため、地球の各地でホワイトベースに対する攻撃が行われたがいずれもあと少しのところで失敗した。
連邦軍首脳部は優秀な囮であるホワイトベースを守るべくある指示を出した。それは「ホワイトベースの偽物を作れ」というものだった。こうして作られたのがマゼラン級戦艦改装艦「ウッドホース」だった。
「艦長!コーウェン大佐から通信です!」
艦隊の打ち上げが続く中でウッドホースに突然通信が入った。
「クレア君、つないでくれ」艦長のロジャー・サンダースが冷静な声でオペレーターのクレア・ヒースローに答える。
「了解。つなぎます」スクリーンには褐色の肌の人物、ジョン・コーウェンが写った。その表情は曇りがちだ。「サンダース…すまない。君をこのような任務に充てるなど…」
「なに、気にするな。この退役間近の老骨の命なんぞいまさら惜しくはない」
コーウェンとサンダースはもともと同期である。しかし、サンダースは一般企業から突然士官学校に入学した変わり者であり、年齢はサンダースのほうが上である。
「それにこの艦もなかなかのものだぞ?若造たちも喜んでる」
サンダースの言葉で少しは和らいだがコーウェンの表情は堅い。
「本来ならばルウムでケリをつけるべきだった。しかしこうなった以上犠牲を増やさないために君にも協力してもらいたい」
「もちろんだとも。立派に囮を務めてみせるさ」
「…貴艦の無事を祈る!」
コーウェンの叫びにも似た一言で通信は途絶えた。
「クレア君、全艦に通信をつないでくれ」
マイクを取ったサンダースは覚悟を決めた表情で話し始めた。
「ウッドホースの諸君、艦長のロジャー・サンダースだ。今から本艦は宇宙に上がる。目的はホワイトベースの囮だ。危険な任務になるだろう。しかし、ここで戦争を終わらせなければならない!これ以上民間人の犠牲を出さないために…諸君の命を預けてくれ!…以上だ」
マイクを置くとサンダースはクレアに告げた。
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