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一方その頃、ジオン軍も連邦軍の動きは察知していた。本来ならば敵の予想進路に部隊を配置し、足止めないしは撃破するのがセオリーだ。しかしそれだけの部隊を配置する余裕はなかった。地球での敗退が濃厚になった味方を助けるために動ける艦隊のほとんどが出動していたからだ。
そんな中、救助艦隊とは別の動きを見せる艦があった。
~サイド6宙域付近~
「地球からの連絡によると木馬はこっちの方に来るそうだ。囮…だな」
ザンジバル級巡洋艦「オガサワラ」艦長のベルナルド・ゴメスは独り言のように呟いた。彼は今でこそ中佐という階級に甘んじているが世が世なら将官になってもおかしくはない人材であった。しかし指導者であるザビ家の方針にことごとく逆らったため一巡洋艦の艦長というポストにいるのだ。
何か思案顔のゴメスにオペレーターが急を告げた。
「艦長!敵サラミス級2隻接近。MSの発進を確認。数6」
「名馬の罠に駄馬がかかったか…応戦する。砲門開け。ただし発砲はするな。MSデッキにつなげ」
応答したのは豊かな白髭を生やした50代の男だった。
「艦長、敵襲だってな」
「バートン大尉、聞いていたか。数ではこちらが分が悪い。なんとか出来るかね?」
まるで親しい友人と話しているような口調で会話は続く。
「なんとか出来るか、だぁ?そんなのは素人に言う台詞だ」
「…心配するまでもなかったか。MS隊の発進を頼む」
「了解!」
「オガサワラ」のハッチが開くとそこから4つの光芒が離れて行った。先頭をノリス・バートンの高機動型ザク、サイドにダリー・ハーディとトッシュ・マニングスのリックドム、最後尾からケイ・ニムロッドのザクキャノン改が続く。
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