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兄が来て丁度一ヶ月が経った。
今日、7月10日は兄の命日だ。
私はいつものように学校に行く。
「行ってきます」
兄が来たからといって、家族とのわだかまりが解けるわけでもなく。
現状維持。
「かなえ~」
玄関を出てすぐに秋音が来た。
「秋音おはよう」
「おはよう。今日も天気が良いね」
「うん」
何で天気?とか思ったけどあえてスルー。
「今日英語あるよね」
「うん」
そういえば秋音英語嫌いだっけ。
「うんしか言ってないね」
「うん」
「「…あはは」」
「ハモったね」
「うん」
毎日の日課も健在だ。
「あっこれ」
秋音はガサガサと袋を出した。
私はそれを受け取る。
「うん」
「お供えしといてね」
「分かってるよ」
今日は命日なので袋がグレードアップしている。ついでに中も。
これは一体どれくらいの値段がかかるのかな?
「一週間後誕生日だね」
「うん」
7月17日は私の誕生日。
兄の命日の丁度一週間後だ。
家族にはろくに祝ってもらえないけど、正真正銘私が生まれた日。
「プレゼント楽しみにしててね」
「うん」
秋音が二イッて笑う。正直言ってカワイイよ秋音。
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