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「かなえ~」
後ろから、私を呼ぶ声が聞こえる。
その声は私が振り返る間もなく近づいてきて、私の背中を押した。
「おわっ!!」
腰をおさえながら振り返ると、見慣れた顔があった。
「おはよっ」
「おっ…おはよ」
元気に私に挨拶してきたこの子は秋音―あきね―。
私の唯一の理解者である親友。
いやっ、心友の方が近いかもしれない。
秋音は幼なじみでもあるから、兄のことも知っている。
勿論、私の心の内も。
「無理して笑わなくていいよ」
毎朝の一言目。
これが私たちの会話の始まりだ。
「うん」
朝は眠いので私は基本これしか言わない。
これも毎朝のこと。
「今日も天気が良いね」
「うん」
「今日体育あるよね」
「うん」
「うんしか言ってないね」
「うん」
「「…あははっ」」
「ハモったね」
「そうだね」
私たちは毎朝こんな会話をしながら学校に行く。
つまらないけど、結構私は気に入ってる。
少なくとも面白くない学校よりは楽しい。
秋音は毎回飽きないから。
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