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◆◇◆
学校が終わるチャイム。
そのチャイムと同時に教室から飛び出して行く男子。
そんな毎日と変わらぬ光景を見ながら、私はある場所へと向かう。
その場所とは、兄が死んだ場所…。
「兄貴、お久しぶり」
横断歩道を渡り終えた端っこの方に遠慮がちに供えられた花。
誰も居ないとは分かっていても思わず挨拶してしまうのは長年の癖。
お墓の方へ行ってもいいんだけど少し距離があるし、こっちの方がいいかなと思って命日以外はここに来てる。
「兄貴、今日誕生日だね。おめでとー。16だね
これプレゼントだよ。こっちが私からで、こっちが秋音からね
あといつもの。これは秋音から。置いとくね」
供えるのはいつも私と秋音の分だけだ。
用件はこれだけだ。基本短時間で済ませる。
「じゃあもう行くね。また今度来るからね」
私はそう言って立ち去った。
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