†決意の冬†

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先輩が部活を引退してからというもの、私はぼーっとしていることが多くなった。 先輩とは趣味が同じだったということもあり、今でもメールをしている。 でもきっと、先輩は今の私を後輩としか見てくれていないのではないだろうか。 先輩は私のことを、どう思っているのだろうか。 先輩への恋心に対する不安が、日々強くなっていることを感じていた。 (誰も知らない、先輩へのこの気持ち。伝えたほうがいいのかな?だけどもし、それが原因で先輩に嫌われたら、私……) 先輩にこの思いを伝えたい、だけど今の先輩との関係を壊したくない。 私の心があっちこっちに片寄る。 こうしようと思ったらためらい、じゃあああしようと思ったらまたためらい……。 なんだかんだしているうちに、気がついたら、季節は冬になっていた。 冬になると、各地の大学の一般入試が一斉に始まる。そのため、3年生は自由登校に入った。 先輩と会えず、ただただメールをする日々。でもこの時、そんなことはどうでもよかった。 ただ、先輩が大学に合格することを願っていたから。
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