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そういって彼女が教室のドアを開けると、そこには円に並べられた椅子の横に、四台のチューバが置かれていた。
教室内には、千鶴先輩以外の先輩が真剣に楽譜と睨めっこをしている。
「みんなー!見学者が来たよー!!」
彼女の一言で、皆の視線が一斉に私の所に集まる。
さすがは地元で一番吹奏楽が盛んな学校、練習場での空気が中学とは全く違う。
だが、さすがに一同の注目が集まると、緊張もあるが恥ずかしいかった。
すると3年生の先輩が、声をかけてきた。
私はてっきり何かしてしまったのではないか、と内心ビクビクしていたが、先輩の口からでた言葉は呆気のないものだった。
「そんなに緊張しなくてもいいよ。さぁ、入った入った」
その時の先輩の笑顔は、今でもよく覚えている。
私は先輩に促されるがまま、教室に入った。
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