†出会い†

6/6
前へ
/28ページ
次へ
「君、名前は?」 「な、那奈美と言います」 「那奈美ちゃんか、よろしく」 そういうと先輩は、私に質問してきた。 「そういえば、那奈美ちゃんは初心者?」 「いえ、中学の時にやっていました」 「経験者か。じゃあ、早速だけどやってみてよ!」 先輩に言われるがまま、私はチューバを吹くことになった。 久々に触るチューバの感触。構えてみるが、やはり重い。 私は色々と懐かしみながら、チューバの音を出してみた。 すると聞き慣れた低い音が、教室の中に響く。 吹き終わると、側にいた2年生の先輩が私に近づいてきて、褒めてくれた。 「上手いじゃない!」 「やっぱり経験者は違うな」 ちょっと照れ臭くて顔を赤くしていた私に、先輩は笑顔で頷いてくれた。 まるで太陽のように、屈託のない笑顔で。 この日、先輩との出会いで私の人生は変わった。 あの時、私は先輩のあの笑顔に一目惚れし、同時にほろ苦い、私の部活生活が始まったのだった。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加