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僕はその白い箱を開けた
中にはいかにも子供向けのおもちゃのような、ダークブルーの携帯電話。
折りたたみ式のそれを開く。大きな画面と月や星をかたどったメニューボタンや、白と青のコントラストの美しいダイヤルボタン。
「どう?気に入ったかしら??」
「…うん」
真夜中を連想させるその深い青。僕は吸い込まれるかのように魅入っていた。
電源を入れ、電話帳を開いた。
「通話は定額だから電話はし放題よ。遅くなりそうな時はお母さんに電話してね??」
「うん………ん?なんか知らない番号が登録されてるよ??」
「どれどれ…」
母がその電話番号を一瞥する。
やかんがヒューッと水蒸気を吐き始めた。
「お母さんも知らない番号だけど…問い合わせも面倒だし、削除すれば問題ないでしょう??」
「わかったあ」
「さて、ご飯にしましょうか。今日はりょうちゃんの好きなハンバーグよ。」
お母さんは本当に幸せそうに笑う。
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