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「修兵……」
麗菜は一言俺の名前を呼ぶと目を閉じた
「…麗菜?」
「あたし…ちょっと疲れちゃった」
長時間話すと麗菜は疲れてしまう
「俺…じゃあ帰るよ、また来るからな」
麗菜に背を向けると
「…帰…らないで……修…」
麗菜に向き直ると
麗菜の頬には閉ざされた瞳から溢れ流れた涙があった
「行かな…い…で…」
消えてしまいそうな声
愛しくて、愛しくて
「お前が寝るまで…帰らねぇ…よ…」
そぅ一言言うと
安心した声で
「ありがとう」
って…
「ほんの少しだけ、寝るから…直ぐ、起きる…から」
途切れ途切れになる言葉に耳を傾け
「ほん…の、ちょっとだけ…」
いつもの優しくて柔らかい笑顔を俺に向けると
「おやすみ」
あれから1年の歳月がたった
未だに麗菜の意識は戻らない
麗菜の眠る病室の扉を開け
眠る麗菜に向かって呟く
『早く、おはようって…起きて笑ってくれよ』
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