プロローグ

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湿った空気の中、滴る水音が古城内部を反響する。 その音をきっかけに異形の巨体が大きく動く。地を鳴らし、空を切る程の恐るべき速度で肉迫し、そして灰色に光る斧の矛先が男の肩先に命中した。 その時、男の視界に表示されるメーターのようなものが、わずかにその幅を縮める。その時男はひやりとしたものを感じた。 その青色のメーターはLPバー〈ライフポイントバー〉の名で呼ばれ、男の命とも呼べる物の残りを分かりやすく明記したものだ。 まだまだ余裕を残しているが、男にとっては微かだが、しかし確実に死に近づいている。 「おっと」 男はぶるっと身を震わせたが、すぐに身を構え今まさに自分の命を奪わんとする敵に構える。
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