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約束の日曜。
私はなんとなく可愛い服がきたくなって、ピンクのスカートに白のブラウスを着た。
髪の毛も可愛くしてみた。
日曜日はいつもヒマだったから、遊びに行くなんて久しぶりだったから。
駅前で待ち合わせ。
私が電車に乗ってその場所に行くと、そこにはもうすでにアキラがいた。
「はやいねー」
「おっ!奈々!」
私が声をかければアキラが振り向く。
が、その顔は一瞬動きを止めて私を見た後、ぱっとどこかに目線がそれた。
「おぉ!アキラ!私服なかなかカッコイイね!」
アキラは紺のシャツの上に黒い半袖のジャケット、穴のあいたカジュアルなジーンズを履いていた。
私が褒めると、アキラはパッとこっちを見た。
「ま、まぁな。最近新しい服買ったもんだからさ…」
頭の後ろをかく。
その指にもシルバーアクセサリーが光る。
うーん。おかしいなぁ。
アキラの友達からは、アキラの私服はダサいって聞いてたんだけど。
どうみてもオシャレさんだ。
「そ、そういうお前こそ、可愛いじゃん?」
アキラはいつもより私と目を合わせない。
「私は服とか好きだもん。」
「そ…そうか。」
「じゃ!時間ないし行こうよ!」
「あぁ」
やっぱりおかしい。
最近のアキラはどうもおかしい。
なんだろう。
好きな人ができたのかな。
…だとしたら、もう私とカラオケなんて行かないだろうな。
好きな人に誤解されたら大変だし。
チクリ。
突然胸が痛んだ。
なぜか分からないけれど、苦しい。
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