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「お前達……勉強はいいのか?」
呆れたような声から、少しだけ怒りが感じ取れた。
「確か二人共獣医学部に進みたいと言っていたな?」
二人の夢は獣医師になること。この夢も中学からお互い変わっていない。
二人はかなりのケモナーであり、動物が大好きだからだ。
「お前達、このままの成績では絶望的だぞ! いつもいつもバスケバスケって……。ここは進学校なんだぞ? いい加減中学生みたいなことはやめて、勉強しろよ。それが嫌なら獣医なんて無理な夢は諦めるんだな」
そんなこと二人共理解していた。
だが、ここでバスケをやめるわけにはいかない理由がある。
「オレ達は高校でインターハイに出るって約束したんだ! 勉強は……引退してから死ぬ気で頑張るから! なあ、歩」
「……」
しかし歩の反応は予想外のものだった。
俯いて、微妙に震える身体。
そして、自分の両の掌を血管が浮き出るほど強く、強く握りしめていた。
歩は……揺れていた。
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