65人が本棚に入れています
本棚に追加
時は平穏。
血生臭い争いが勃発することは、まず起こらないような平凡な高校生活。
くさいと言えば、バスケットシューズを履く際の鼻を突くような異臭くらいだろうか。
しかし、朝の爽やかな風がそんなにおいも運び去っていく。
そして、入れ違いに耳に運ばれるのは、おはようなどの簡素な挨拶。
その少年は結ぶ手を速めた。
握りこぶしが入るような大欠伸を連発しながら、慣れた手つきで縛っていく。
バスケットシューズを結び終えたのか、靴裏を手で拭くと大きく膝を曲げて跳び上がる。
そして、錆がかった鉄の扉に手を掛けたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!