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「怜護、いつものやろうぜ」
「そうだな。あれやって今日も一日頑張るか」
そんなことを一人で考えている怜護を、淋しい朝から解放してくれるのが歩だ。
――いつまでも二人でバスケやろうな。――
東海大会で敗れた時に二人が交わした約束。
この約束を、二人は一時も忘れたことはない。
彼らはお互い親友であり、“大切なチームメイト”という共通認識がある。
足元に転がるボールを拾い上げ、二人は先生を左右で挟んだ。
そして二人同時にカウントダウン。
「三、二、一……」
全力投球のチェストパスが先生の両頬を捕えた。
ボコッ……パキッ。
何かが砕け散るような音と共に、怜護達はあることに気づいた。
「ああ、先生の眼鏡。外すの忘れてたっけ……」
そうして二人の一日は先生の罵声と共に始まっていく。
そして、いつまでも続くはずだった。
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