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いつものように、怜護と歩は放課後の部活を行うために体育館に向かった。
しかし、今日は何故かいつもと違っている。
いつも騒いでいる陸上部も、綺麗な旋律を奏でる吹奏楽部も見当たらない。
不審に思った二人は、足速に体育館に到着した。
しかし、目の前には非常口の電灯による微かな音だけが鳴り響く、静かなフロア。
「なんで誰もいないんだ?」
呟くように言ったが、そんな声でさえ体育館中に響き渡る。
その自分の声に、怜護は胸の中に言い表せないような孤独と苛立ちを渦巻かせた。
そして、ああ、と思い出したように歩が切り出した。
「そういや今週から定期テストじゃないか! 部活停止期間なんだよ!!」
そうだ。今週は魔のテスト週間。
授業を全く聞いていない二人には無縁だが、このテストはかなり成績に影響する。
しかも、全ての部活が活動停止になってしまう。
無言のまま体育館の入口に立ち尽くしていると……。
呆れた顔をした顧問の先生がやって来た。
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