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「ん・・」
男はゆっくり目を開けた。
(生きてる・・)
男は気がつくと
ベッドに寝かされていた。
どうりで野宿していたときのような
身体の痛みを感じないわけだ。
人の気配がしたので
そっと横を向いてみると
向こうの部屋に
長髪の小柄な人が
背を向けて座っていた。
「あ・・」
と話しかけようとすると
その人の身体が
ぴくっと動いてこちらを向き
立ち上がって駆け寄ってきた。
「気がつきましたか?よかった・・あなた、僕の家の前で倒れてしまって・・」
覗き込んできたのは
とても美しい少年だった。
よく見ると、
彼の瞳は右が赤色、
左が青色で
あまりにもめずらしかったので返事もせず
その瞳をじっと見てしまった。
それに気づいて少年は顔を背け
うつむいた。
「すみません・・気持ち悪いですよね、この瞳。もうじっと見つめたりしませんから・・あ、お腹すいてませんか?今、何か持ってきますね」
そう言うと、
少年はぱたぱたと走り去ってしまった。
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