迷子

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「また会ったねいつかの変態君。でさぁここどこ?」 今の場に合わないような喋り方でこの女は聞いてくる。 「へ、ヘンタイ?」 俺はその言葉をカタコトで繰り返すようにして言う。 祐貴はようやくこの女に気づき、目を丸くしてびっくりしている。 「も、もしかして迷子?」 直樹が聞いた。 「そんな感じ。あたし電車で来たんだけどさ道に迷っちゃって困ってるの」 手をうちわのようにしてパタパタとあおぐこの女を見ると、そうとう歩き回っていたんだろうか。 「そりゃあしょうがないよ初めて来る人は迷うもんね。ここら辺は」 祐貴はなんとなく喋り方がぎこちない。直樹もだ。 話題となった人物が目の前に突然現れて、テンパったからだろう。
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