迷子

14/16
前へ
/311ページ
次へ
電車が来たので乗車し、向かいあって席に座った。 「周りから見たら俺達付き合ってるみたいだな!」 周りをキョロキョロしながら言い、俺は少しだけ彼女が出来たような気分になりウキウキする。 そんな俺が少しだけ虚しくも見えるが可愛くも見えるってか?ほっといてくれ。 「かもね。でも普通カップルは向かい合わないで隣に座るもんだよ。向かい合う席に座ったとしても」 俺の財布の中の小銭がスッカラカンとなった原因のサイダーを一口飲み終え、言ってきた。 「そ、そうなのか?」 俺にとって付き合う事は未知の世界。何にも分からない。悲しい。何度も言うが……同情NGで。 そしてあることを思い出した。 「そういえばさっきナンパしてた男がどーたらこーたら言ってたけど…彼氏いるのか?」 「あ~あれね、なんかしつこかったから『彼氏いる』って言っただけ。そうすれば手っ取り早く諦めてくれるでしょ?あれはただの嘘」 窓から見える、変わりゆく外の風景を眺めながらなんちゃらは答えた。 「てゆうか引っ越したばっかで彼氏なんて出来るわけないっしょ」 「まぁそうだけど」 そうこうしてる間に駅へとたどり着いた。
/311ページ

最初のコメントを投稿しよう!

456人が本棚に入れています
本棚に追加