隣の家

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「ここは遠い親戚の家。色々あってここの家のおじさんとおばさんに私だけ引き取ってもらう事になったんだ。 昨日初めて来たの」 幼い子供に言い聞かせるような、ゆっくりとした口調でそう言ってきた。 「そういえばここ名字が“中田”だ!」 俺は閃いたようにして言った。 中田さん一家は昔四人で暮らしていたが息子の二人が社会人になって家を出て行き、それ以来おじさんとおばさんの二人が住んでいる。 そんな俺はおじさんおばさんと仲がいい。 「おいおい…これが漫画の世界だったら目ん玉飛び出てる所だぜ」 驚きを隠せないがあまり驚いていないコイツの方に俺は驚いた。 ちょっと変わってるな。そんな目でコイツを横目に、俺は言葉に詰まった。 そしてしばらく沈黙が流れてしまう。
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