真白い昼の夢(カム・トュゲャザー)

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太陽が一番高く昇っている頃。 部屋の中。 体内をスーッと少ない血がゆっくり巡る。 カーテンを開けた。窓から入る太陽の光はいつもと違い赤く見えた。 入り込んだ光で部屋も赤く染まっていた。 部屋の奥行きが広がった。 音楽をかけると、壁に天井に床にスピーカー。 飛び交う音たち。 テレビをつけた。 バラエティ番組をやっていた。 司会者が、声を出さず口をパクパクしたり笑ったりしていた。 外を見ると僕の部屋が空に昇っている。 ゆっくりと。 外の風景はいつもと変わらない。 沢山の車が走り、人がぽつぽつと歩いている。 動いている車には必ず人が乗っているらしい。 動いている人は自分の意志で動いているらしい。 青すぎる空。 白い雲。 嘘みたいな空。 嘘みたいな雲。 太陽に照らされた地面が白に近い黄土色。 眩しいよ。 すべてが白くなりそう。 外はきっと騒音。 部屋の中は音でいっぱいなのに、やけに静かで冷静。 またテレビを見るとニュース番組。 口パクのアナウンサーが喋りだした。 「さあ、準備はいいですか?」 「次の世界へ行く準備はいいですか?」 「さあ手をつないで、一緒に行きましょう!」 「一緒に行きましょう!」 僕たちは手を繋ぎ環になりました。 「一緒に行こう!」 「うん、一緒に行こう!」 「僕たちなら行けるよ!」 僕たちは太陽を目指して空高く昇っていきました。 それはとても大きな環だったよ。 太陽。 世界。 白くなり。 真っ白く。 そこはとても白い世界だったよ。 外はいつもと変わらない夏の一日。image=93567764.jpg
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