光る穴

2/3
前へ
/30ページ
次へ
夜空に穴が開いていました。 僕は大人の人に、 「ねえ、あの一つだけおっきな穴は何?」 「あの穴抜けたらどこにいけるの?」 「飛行機に乗れば行けるかな?」 「ほら今、飛行機が穴の横を通り過ぎたよ!」 「誰か穴に入ったかな?」 「飛行機は小さな穴の間を、うまく通り過ぎてくね。」 「針を刺して開けたくらいの小さな穴だな。」 「あの小さな穴には入れそうにないや。」 「ねえ、あのおっきな穴抜けたらどこにいけるの?」 大人の人は、 「あれは穴じゃないよ。月という星だよ。今夜は満月だからまん丸なんだ。」 大人の人は続けました。 「牛丼屋の味噌汁をほおっておくと、味噌が真ん中に集まってまん丸で、お椀が黒くて汁が透明で宇宙空間を漂っている月の出来上がりだ。」 「天体望遠鏡で月を観てみるといいよ。月はお椀の中の味噌汁のようだから。」 僕は、 「そんなわけないやい!」 と泣きだしました。image=67515381.jpg
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加