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夜空に穴が開いていました。
僕は大人の人に、
「ねえ、あの一つだけおっきな穴は何?」
「あの穴抜けたらどこにいけるの?」
「飛行機に乗れば行けるかな?」
「ほら今、飛行機が穴の横を通り過ぎたよ!」
「誰か穴に入ったかな?」
「飛行機は小さな穴の間を、うまく通り過ぎてくね。」
「針を刺して開けたくらいの小さな穴だな。」
「あの小さな穴には入れそうにないや。」
「ねえ、あのおっきな穴抜けたらどこにいけるの?」
大人の人は、
「あれは穴じゃないよ。月という星だよ。今夜は満月だからまん丸なんだ。」
大人の人は続けました。
「牛丼屋の味噌汁をほおっておくと、味噌が真ん中に集まってまん丸で、お椀が黒くて汁が透明で宇宙空間を漂っている月の出来上がりだ。」
「天体望遠鏡で月を観てみるといいよ。月はお椀の中の味噌汁のようだから。」
僕は、
「そんなわけないやい!」
と泣きだしました。
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