いちばん

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小遣いの全てを注ぎ込み、押し寄せる地デジの波に乗るべく購入した31型のテレビ ブラウン管から移り変わり鮮明になった画面から、日々絶えることのない犯罪ニュースが映し出されている 「まったく…… 人間はよくも飽きもしないで犯罪犯罪と」 ズズー 渋々ではあるが体育着に着替えた七ノ葉が、テレビを見ながら茶を啜る 「ナチ、粗茶が温いぞ」 「アンタは…」 すっかり寛いでいる七ノ葉に殺意が芽生える那智 ―大人しくしていれば可愛いのに…… 体育着に着替え、お茶が来るまで黙ってテレビを見ている七ノ葉に、那智は不覚にも“可愛い”と思ってしまった ―私はノーマルよノーマル 殺意とは違うものが芽生えそうな自分を、那智は懸命に否定した 「おい、ナチ 黙って聞いていればさっきから『アンタ』呼ばわりしているが、七ノ葉とちゃんと名乗ったんだから名前で呼べ」 七ノ葉自身、失礼な程早々と那智を呼び捨てだ 「“ナナノハ”って長くて呼びづらい」 「誰が呼び捨てして良いと言った?七ノ葉様と呼べ」 「更に長いじゃない!」 顔はともかく、性格は“可愛い”から縁遠い七ノ葉 「お前達は普段『神様』と言うのに、神様個人に対しては呼び捨てにするのか?」 ―またその話しか
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