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―親切心
那知にしてみればそのつもりだった
―しかし
「誰が小学生だ!俺は若いが十八だぞ!」
那知の言葉に少年は顔を赤くして怒鳴った
「じゅ、じゅうはち!?」
少年の怒りよりも、那知には童顔ではすまされない事態に目を丸くした
―そんな馬鹿な
何を食べればそうなるの?
冗談でこんな年齢詐称は言わないだろうという思いと、どう見ても十歳くらいにしか見えない少年に那知は軽い目眩を感じた
「じゃあ……どこの高校?」
納得はできていない
しかし切り出した話を見た目で打ち切るのは那知の信念に反した
―若く見られる人なんて珍しくないわよ
心にそう言い聞かせ、ぎこちない表情で少年に訊ねた
そして少年は――
「高校?神様がそんなとこに行くか馬鹿」
濡れた髪を両手で後ろへと流し、妙に大人びた視線を那知に向けた
「はい?……神様?」
―ああ、この子
イタイ子だったんだ
良く見ればその格好も変だ
上下とも七分丈のツナギで、素材は解らないが表面は水に濡れ滑らかに光っている
色は黒で、胸の中央には紋章にも見える模様が白で描かれていた
「地に臥して敬え愚民め」
神と名乗る少年は腕を組み、なんとも憎たらしい笑顔を見せた
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