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春香とは付き合って、もうすぐ三ヶ月。由美と別れてから一年くらいが過ぎ、もう、恋人はいらないと考えていたが、春香の猛烈アタックに押し切られるようにして付き合い始めた。春香は由美と全く正反対だ。自分の思っていることはズバズバと話すし、底抜けに明るい。由美に振られた直後の暗い気持ちの時に、その底抜けな明るさにはかなり救われた。だから、一年が過ぎ、春香と付き合うのをオーケーしたのかもしれない。
「怖い夢でも見たんかな?」
俺は涙を拭いながら笑って誤魔化した。春香も一緒に笑った。春香の笑顔はいつだって無邪気だ。その無垢な笑顔を見るたびに、胸が苦しくなる。こうして三ヶ月近くも、春香を、そして自分を誤魔化して付き合い続けているから。でも、こんなことをいつまでも続けているわけにもいかない。続けていていいわけがない。
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