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由美は窓の外を眺めながら少し考えてから、話し始めた。
「隆と別れてから、もう一年だね」
由美の視線は相変わらず道行く人並みを追っている。俺の投げかけた質問の答えではない答えが帰ってきた。
「そうだな……」
俺も窓の外を眺めた。道行く恋人達。一年前は俺達もああして歩いていたんだなと思うと、甘酸っぱい気持ちが込み上げてくる。
「まだ、私のこと好き?」
由美の突然の言葉に俺はタイムスリップした。見渡している景色はセピア色に変わる。
──隆は、私のこと本当に愛してる?
あの時の言葉が、あの時の光景が脳裏に映し出される。そして、由美と過ごした、思い出がぱらぱら漫画のように流れていった。由美と付き合っていた頃の気持ちまで蘇る。
「俺は……」
俺は由美を愛して──
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